海外AIの読みものアイビュー
AIVUE.

知る、その先へ。
海外の視点を、日本語で。

AIを使う

AIは何から学ぶ? Jeff Suの3段階を日本語の仕事で試す

AIにメールを書いてもらったのに、結局ほとんど書き直している。便利そうなツールをいくつも試したけれど、仕事で使う場面が増えない。そんなときは、新しい機能を覚える前に、頼む仕事と渡す情報を整理してみると、見直す場所が分かります。

AIや仕事の効率化を発信するJeff Su(ジェフ・スー)は、2026年6月公開の動画で、AIを学ぶ順序を三つの段階に整理しています。まず一つの道具を使い込み、次に目的と文脈を渡せるようになり、その先で複数の作業をつなぐ。この順番を手がかりに、何から始めればよいかを考えてみましょう。

この記事では原動画の要点を押さえたうえで、AIVUEが用意した日本語のメール例を使って、入力、確認、修正、再利用までを説明します。

Jeff Suが示すAI学習の三段階

  1. 一つの道具を使い込む。次々と乗り換える前に、選んだAIで仕事を一つ完了させる。
  2. 目的と参考情報を渡す。望む結果だけでなく、判断の材料もそろえ、繰り返し使う情報を保存する。
  3. 複数の作業をつなぐ。別々の資料を参照したり、修正から得た方針を次の作業に引き継いだりする。

一つ目を飛ばして三つ目から始める必要はありません。まずは、身近な仕事で「何を渡すとよいか」「出力のどこを確認するか」が分かる状態を目指します。

道具選びは「何を任せるか」から

道具の比較を見る前に、任せたい仕事を一行で書いてみてください。「仕事を効率化したい」より、「取引先への日程変更メールの下書きを作りたい」のほうが、必要な機能も結果の良し悪しも判断しやすくなります。

選ぶときは、その作業に必要な資料を扱えるか、利用できる範囲や料金が自分に合っているか、仕事での利用が認められているかを見ます。最初から有料の道具をいくつも契約する必要はありません。今使えるものを一つ選び、入力して終わりにせず、確認と修正まで試すほうが、自分の課題をつかめます。

なお、原動画にはモデルごとの評価も登場します。製品の機能や料金は変わるため、ここでは当時の順位を現在の選定基準にはしていません。

長い指示より、足りない材料を見つける

今回の中心は、望む結果と参考情報を分けて考えることです。望む結果は「何を完成させたいか」。参考情報は、そのためにAIが知っておくべき事実、条件、見本です。

例えば「いい感じの日程変更メールを書いて」では、いつの予定をいつに変えるのかも、相手に何をしてほしいのかも決まりません。「丁寧に」「プロらしく」と言葉を足しても、候補日時がなければ、相手が返事をするための材料はそろいません。

一方で、情報は多ければよいわけでもありません。古い予定や関係のないメールをまとめて渡すと、今回使うべき情報が曖昧になります。今回の事実、文章の見本、守ってほしい条件を分けるところから始めましょう。

実践例 日程変更のメールを作る

以下はAIVUEが作成した練習用の設定です。実在する取引先の情報は使っていません。完成の条件は、相手が二つの候補日時から都合のよいものを選べることです。

最初に渡す入力文

目的
取引先に打ち合わせの日程変更をお願いするメールを作ってください。

今回の事実
変更前:10月20日14時
候補:10月22日11時、または10月23日15時
所要時間:30分
変更理由:社内会議との重複

相手にお願いしたいこと
都合のよい候補を一つ選んでもらうこと。

文体の参考
「お世話になっております。資料を添付いたします。ご確認のうえ、修正が必要な箇所をお知らせいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」

出力条件
件名と本文を作ってください。参考文は簡潔さと丁寧さだけを参考にし、用件は流用しないでください。今回の事実にない情報は加えず、宛名と署名は空欄にしてください。

参考文を付けたのは、抽象的な「丁寧さ」を具体的な文章で伝えるためです。「資料を添付する」という参考文の用件まで混ぜないよう、何を参考にしてほしいのかも書いています。

出来上がりは、この順番で確認する

  1. 事実が合っているか。変更前の日時、二つの候補日時、30分という所要時間を入力と照合する。
  2. 相手が次の行動を取れるか。候補を選んで返事をしてほしいことが伝わるかを読む。
  3. 文章を整える。謝罪が重なっていないか、前置きが長くないかを見る。

自然な日本語でも、日付が違えば使えません。先に事実と用件を確認し、その後で言い回しを調整します。実際の出力は利用するAIや設定によって変わるため、この確認は省かないようにします。

修正は、変える部分と残す部分を伝える

「もっと自然に」と頼むだけでは、どこが気になるのかが伝わりにくいことがあります。例えば謝罪が重なり、候補日時が長い文章に埋もれているなら、次のように頼めます。

先ほどのメールを修正してください。
謝罪は一度にまとめ、候補日時は箇条書きにしてください。
相手に候補を選んでもらう一文は残してください。
日時、所要時間、変更理由は変えないでください。

これは初回の出力に必ず必要な修正ではありません。すでに条件を満たしていれば、その部分を直す必要はありません。実際に気になった点だけを具体的に伝え、修正後にも事実が残っているかを確かめます。

一度うまくいった書き方を次に残す

完成したメールをそのまま次回の指示にすると、古い日付まで混ざるかもしれません。再利用するのは、今回だけの事実ではなく、次回も守りたい書き方です。

  • 用件を早めに伝える。
  • 候補日時は箇条書きにする。
  • 謝罪を何度も繰り返さない。
  • 相手にお願いしたい行動を明確にする。

この短いメモと、毎回変わる日付や相手の情報を分けておきます。保存機能を使い始める前でも、次の会話にメモを貼れば試せます。慣れてから、使っているサービスの作業単位の保存機能へ移すと、何を登録すべきかを決めやすくなります。

修正の理由も残すと役に立ちます。「短くした」だけではなく、「候補を選びやすくするため、日時を箇条書きにした」。理由が分かれば、別の種類のメールにも応用するかどうかを判断できます。

複数の資料をつなぐのは、その次

原動画の最後の段階は、別々に扱っていた作業をつなぐことです。ここから先は、AIVUEの別の練習例で考えてみます。

イベントの案内文を作るとします。日程は予定表、担当者は名簿、会場の注意点は別のメモにあります。これらを一緒に参照できれば、必要な情報をまとめた案内文の下書きを作る、という課題になります。

ただし、古い予定表と新しい予定表が混在していると、情報を増やしただけでは解決しません。日程はどの資料を優先するか、担当者はどの版を見るかを先に決めます。下書きには、各情報をどの資料から拾ったかも示してもらうと、元の記載へ戻って確認できます。

最初の練習なら、必要な二つの資料を自分で選んで渡すだけでも十分です。外部サービスを自動でつなぐ作業は、繰り返し使う必要が出てから検討できます。まず材料を選び、答えを確認する。その手順は同じです。

まずは一件、確認まで終わらせる

この記事を読み終えたら、日程変更メールでも、案内文でも、よく書く文章を一つ選んでみてください。何を完成させたいかを決め、必要な事実と見本を渡し、出力を確認して直します。

最後に残すのは、使える文章一つと、次回も使いたい短いメモです。新しいツールの名前を覚えるより先に、自分の仕事でこの流れを一度終えてみる。それが、次に何を学ぶかを決める手がかりになります。

原動画と参照資料

Jeff Su — How I’d Learn AI From Scratch in 2026(2026年6月9日公開)
Jeff Su公式サイトの解説記事

原動画で該当する箇所を見る場合は、0:20 道具選び、4:04 目的と文脈、9:18 作業をつなぐ仕組みから確認できます。

すべての記事へ戻る